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「知らなきゃ損する!面白法律講座」第740号

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     □□   知らなきゃ損する!面白法律講座   □□

             週1回発行(月曜日)


2015年03月09日                        第740号
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 発行部数: 18,158部(まぐまぐ 12,775部、melma! 5,383部)
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■ 目 次
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  □ 今週の話題 ~法律はこう斬る! 第95回
   「ちょっと待って!ネットでの『晒しあげ』」

  □ なっとく! 法律相談 第728回
   「個人間の借金トラブル。どのように対処すればいいでしょうか?」
    http://www.hou-nattoku.com/consult/1423.php

  □ 法律クイズ 第414回 【問題】
   「親を扶養するのは兄弟の誰か?」
    http://www.hou-nattoku.com/quiz/0907.php

  □ 議事録から見る会社法 第69回
   「決議事項 ~中間配当の実施~」

  □ 法律クイズ 第414回 【解答】


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■ 今週の話題 ~法律はこう斬る!


  第95回「ちょっと待って!ネットでの『晒しあげ』」

  神奈川県川崎市で中学1年の男子生徒が殺害されるという痛ましい事件が
 発生しました。神奈川県警は18歳の少年1人と17歳の少年2人を殺人の疑い
 で逮捕したと発表しました。事件への関与を認める供述も出ているようで
 すが、真相解明にはまだ時間がかかりそうです。
  3人はいずれも未成年のため、報道では実名等個人情報が伏せられていま
 すが、被疑者が逮捕される前から、被疑者と思われる人物の情報がネット
 上に書き込まれ、逮捕後も「絶対許さない!」「再起不能にしてやる!」な
 どとして、顔写真や家族写真、住所が続々とネットに投稿されて、「私刑」
 のような動きが起こっているといわれています。今回はこれらの行動の問
 題点について考えてみたいと思います。

  「私刑」とは、国家の刑罰権の発動を待たずに、私人もしくは私的団体
 が自力で行う制裁のことをいいます。英語ではリンチと表現されます。海
 外では、殺人や窃盗の犯罪の現行犯に対して民衆が制裁を加えるという私
 刑行為が許されている国もあります。
  日本では、憲法31条が、「何人も、法律の定める手続によらなければ、
 その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」と
 定めており、刑罰を課すには国家が法律に基づく必要があります。よって、
 私刑は禁止されています。
  「私刑」の中には、メディア・リンチというものも含まれると考えられ
 ています。メディア・リンチとは、犯罪事件が起こった際に、ワイドショ
 ー、週刊誌、ニュース等によって事件にまつわる被害者・加害者、両者の
 人間関係やプライバシーなどが一方的に流されてしまうことでプライバシ
 ーの侵害や名誉毀損が行われている状況を指します。一般人の犯罪に対す
 る憎悪や事件に関する好奇心を煽るような見せ方で、かつ、当事者の意向
 が無視された状態で情報が流される点に特徴があります。

  メディア・リンチにより深刻な被害を受けた例としては、松本サリン事
 件の第一通報者やロス疑惑の被告があげられます。
  犯人と断定される前に、犯人であろうと思われる人物やその人物の周り
 の人間関係をネット上に晒しあげたという今回の行為は、メディア・リン
 チと同じような行為であるといえ、「私刑」に該当する可能性が高いと思
 われます。したがって、私刑の禁止に反する行為といえるでしょう。

  私刑の禁止に反する行為について、包括的な罰則規定はありませんが、
 行為態様に応じて刑法等により処罰されます。例えば、犯人に対して暴行
 を加えれば暴行罪(刑法208条)、脅して「罰金」を取れば恐喝罪(刑法249条)
 が成立します。個人の情報をネット上に晒しあげる行為についても、名誉
 棄損罪(刑法230条)にも該当するおそれがあります。

  残酷な事件に対して感じた怒りを表明したいという気持ちはよくわかり
 ます。事件の解決のために何かをしたいという気持ちがネットに情報を書
 き込むといった行為を引き起こしてしまうのも分からないではありません。
 しかし、やはりこれらの行為は法に反する行為ですので、慎まなければな
 りません。
  そのような書き込みを見て、FacebookやTwitter、掲示板といったところ
 に、怒りの気持ちのままつい書き込みをしてしまう前に、冷静な気持ちを
 取り戻すことが必要です。

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■ なっとく!法律相談 第728回
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 「個人間の借金トラブル。どのように対処すればいいでしょうか?」

 □相談□

  2013年12月に知人の紹介で個人で貸付をしているという人からお金を借
 りました。借入額30万に対して、その場で「前利子として3万引いて27万円」
 と言われて受け取った金額は27万円です。返済条件・毎月(2014年1月から)
 利子として貸付額30万に対して3万円を返済すること。元本返済は10万円単
 位(利子を毎月3万払いながら10万円返済した翌月は利子2万円という形です)。
 簡素な借用書は作成し保証人として知人がなっています。
  毎月の利子返済が遅延し、知人からは「電話で督促、イヤミを言われて
 いる。利子を振り込んで」と連絡がきます。完済したい意思はあるのです
 が、毎月の3万という利子返済が厳しいのと元本を10万単位で返済すること
 が不可能な状態です。


                        (40代:男性)


 □回答□

  個人間のお金の貸し借りにおいても、許される金利の上限が決められて
 います。大きく2種類の法律による規制があります。ひとつは出資法。もう
 ひとつは利息制限法です。

  まず、出資法においては上限金利が109.5%と定められています。これを
 上回る金利をとると違法となり、刑事罰の対象となります(出資法5条1項)。
 ご相談者様のケースであれば貸付金額が30万円なので、年間30万9500円の
 金額を超えた場合、刑事罰を伴う違法となります。ご相談内容で指摘され
 たような前利子も利息に含めて考えることになります(出資法7条参照)。と
 すれば、毎月3万円の利息を12ヵ月間支払うと36万円となりますので、そも
 そも処罰対象となる契約です。

  つぎに、利息制限法では、個人間の貸し借りの場合、元本が30万円なら
 18%と上限を設けています(利息制限法1条)。利息制限法の金利を上回った
 としても、出資法の上限金利を下回っていれば罰則はありませんので、個
 人の金貸しは出資法の上限金利スレスレの数値を設定する例が多いといえ
 ます。
  利息制限法に照らした場合、年間の利息では元本30万円なら、5万4000円
 となります。実は、これを上回る金利設定は無効であり、上回った部分に
 ついて支払いをした場合は、元本に充当されるというのが裁判例で確定し
 ています(最判昭和39年11月18日、最判平成2年1月22日など参照)。

  ご相談内容からは何ヵ月の金利支払いをされたかは定かではありません
 が、おそらくはある程度、元本が減っている状態であると思われます(元本
 が支払い終わっていたという計算になれば、以降の支払い義務はなくなり、
 過払いがあった部分については返還請求が可能です)。

  したがって、そもそも当初の金利設定自体が違法であることや、ある程
 度元本が減っているため、月々の返済額を抑えてほしいということの交渉
 余地はあると考えられます。ただ、ご相談内容から察するに相手は百戦錬
 磨のプロだと思われます。こうした場合は、すみやかに弁護士などの法律
 の専門家を頼り、間に入って交渉してもらうほうがベターだと思われます。
 督促の停止なども含めた対応を行ってくれるでしょう。
  依頼における金銭的な負担が気になる場合は、法テラスに相談されるの
 もひとつの方法です。(参照:http://www.houterasu.or.jp/)法的助力を
 求める際の支援制度なども含めて相談が可能です。


  [関連情報]
  ・個人間でお金を貸すときの注意!
   http://www.hou-nattoku.com/consult/918.php



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■ 法律クイズ 第414回 【問題】
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 「親を扶養するのは兄弟の誰か?」

  Aさんには、長男・次男・長女の3人の子供がいます。それぞれ成人して
 います。最近Aさんは体調を崩し、介護が必要な見通しが出てきました。
  そこで問題。法律上Aさんを介護する必要があるのは次のうち誰でしょう
 か?

 1. 長男

 2. 次男

 3. 長女

 4. 協議で決める


 ▼ 解答は、メールマガジン下部にあります。 ▼





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■ 議事録から見る会社法


 第69回「決議事項 ~中間配当の実施~」

 ■剰余金の配当とは?

  配当とは、利益その他剰余金を株主に分配することをいいます。
  剰余金の配当をしようとする場合は、定款又は株主総会の普通決議によ
 って、配当財産の種類と帳簿価額の総額、株主に対する配当財産の割当て
 に関する事項、及び、剰余金の配当の効力を生じる日を定めなければなり
 ません(会社法454条1項)。
  剰余金の配当を取締役会決議によってできる旨の定款規定を置いた場合
 には、以下で説明するような中間配当ができる旨の定款規定を置くことな
 く、取締役会決議によって中間配当をすることができます(会社法459条参
 照)。

 ■中間配当とは?

  中間配当とは、一事業年度の途中において一回に限り取締役会の決議に
 よって行うことのできる剰余金の配当のことをいいます。中間配当につい
 ては、配当財産が金銭であるものに限ります。取締役会設置会社は、取締
 役会の決議によって中間配当をすることができる旨を定款で定めることに
 より中間配当をすることができます(会社法454条5項)。

 [中間配当の定款規定の例]
 ┌───────────────────────────────┐
 │ (中間配当)                         │
 │ 第×条 当会社は、取締役会の決議により、毎年×月×日の最終 │
 │ 株主名簿に記載又は記録された株主又は登録質権者に対し、中間 │
 │ 配当を行うことができる。                  │
 │                               │
 └───────────────────────────────┘

  上記の定款規定に基づいて、取締役会で中間配当をする旨を決議した場
 合には、取締役会議事録に記載することが必要となります。

 ●中間配当をする旨の決議をした場合の議事録記載例
 ┌───────────────────────────────┐
 │ 第×号議案 第◯期中間配当実施の件             │
 │                               │
 │   A 取締役経理部長から、第◯期中間配当は、会社法461条に │
 │  定める分配可能額の限度内で実施可能であるので、次のとおり │
 │  実施し、配当により減少する剰余金の額の10分の1を利益準備金 │
 │  として積み立てたい旨の説明があった。           │
 │  次いで、議長が本議案を議場に諮ったところ、全員異議なくこ │
 │  れを決議した。                      │
 │                               │
 │   (1)中間配当金  1株につき金○○円           │
 │   (2)支払総額   ○○○億円               │
 │   (3)中間配当の効力の生ずる日  平成×年×月×日     │
 │                               │
 └───────────────────────────────┘
 
  中間配当をする場合には、取締役会決議によって配当財産の種類と帳簿
 価額の総額、株主に対する配当財産の割当てに関する事項、及び、中間配
 当の効力を生じる日を定めなければなりません(会社法454条5項、同1項)。
 したがって、その旨を記載します。

 ■配当可能額を超えて配当した場合

  剰余金の配当は、分配可能額の範囲内で行われなければなりません(会社
 法461条1項8号)。分配可能額を超えた配当がなされた場合には、会社は株
 主に対してその返還を請求でき(会社法462条1項)、会社債権者は、直接株
 主に対して違法分配額を返還するよう請求することができます(会社法463条
 2項)。
  しかし、1人会社のような場合を除き、株主が多数で構成される場合が多
 く、このような場合には株主に返還を求めることは困難です。そこで、業
 務執行取締役等の業務執行者や取締役会に剰余金分配議案を提案した取締
 役に対して、株主が受領した額を支払う義務を負わせています(会社法462条
 1項)。
  ただし、その職務を行うことについて注意を怠らなかったことを証明し
 た場合にはその責任を免れることができます(会社法462条2項)。
 
 
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■ 法律クイズ 第414回 【解答】
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 「親を扶養するのは兄弟の誰か?」

 □解答□
 4. 協議で決める

  民法877条において、兄弟姉妹は扶養義務があるとされます。そして、誰
 が優先的に扶養するかについては、法律上、協議によって決定すると定め
 られています(民法878条参照)。
  古くは家督相続という意識から「長男が」という話になったのでしょう
 が、今は平等の意識が強くなっていると言えます。


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 │       (株)リーガルフロンティア21大阪事務所
 │       大阪府大阪市北区曽根崎2-2-15 
 │       KDX東梅田ビル9階
 │  地図http://www.paralegal-web.jp/10_info/map.php
 │    
 │■お持ち物:筆記用具のみ
 │      *当日使用するテキスト・資料等は貸出いたします
 │
 │■予約方法:開催日前日の17時までに、下記申込フォームより予約
 │http://www.paralegal-web.jp/02_event/index.php?select=exp
 │※定員制のため、お席が埋まり次第、受付終了とさせていただきます。
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 │★当日、講座のお申込も可能ですので、ご希望の方はスタッフまでお気
 │ 軽にお声をお掛けください。引き続きご受講頂けます。
 │
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