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「知らなきゃ損する!面白法律講座」第746号

                      http://www.hou-nattoku.com/
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     □□   知らなきゃ損する!面白法律講座   □□

             週1回発行(月曜日)


2015年04月20日                        第746号
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 発行部数: 18,063部(まぐまぐ 12,681部、melma! 5,382部)
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■ 目 次
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  □ ある弁護士の獄中体験記 第3回
   「宮崎北警察署」

  □ なっとく! 法律相談 第734回
   「委託されて撮影した画像の著作権は誰のものでしょうか?」
    http://www.hou-nattoku.com/consult/1435.php

  □ 今週の話題 ~法律はこう斬る! 第101回
   「親の監督義務をめぐり、最高裁で逆転判決。その理由は?」

  □ 法律クイズ 第420回 【問題】
   「コピー商品の「購入だけ」は違法?」
    http://www.hou-nattoku.com/quiz/0920.php

  □ 想うままに ー弁護士日誌から 第2回
   「刑事司法の危機」

  □ 議事録から見る会社法 第75回
   「決議事項 ~利益相反取引の承認4~」

  □ 法律クイズ 第420回 【解答】


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■ ある弁護士の獄中体験記
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 山本 至(やまもと いたる)
 元弁護士。昭和29年生まれ。昭和51年早稲田大学卒業。金融機関勤務後平
 成元年司法試験合格、同2年司法研修所入所(修習44期)。平成4年弁護士
 登録(東京弁護士会)。
 平成18年に証拠偽造、証人威迫容疑で逮捕。無罪を主張したにもかかわら
 ず、平成24年10月に最高裁判所で懲役1年6月の実刑判決が確定。宮崎刑務
 所、大分刑務所で服役し、平成26年4月出所。現在は自身の体験談などの執
 筆活動中。
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  第3回「宮崎北警察署」

  宮崎北警察署に着いたのは、飛行機が遅延したこともあり、夜の7時を過
 ぎていたと思う。時計を取り上げられているので、正確な時間ではないが。
  留置場と同じ4階にある取調室で、夕食が出され、食後には「ゆっくりし
 ていいですよ。」と言われ、刑事さんが私のタバコを持ってきてくれ(刑事
 さんが預かっていた)、食後の一服。現在では禁煙となっているそうだが。

  一服中は刑事さんと雑談をし、その後、就寝時間である9時が近くなり、
 同じ4階にある留置場の入り口を入り、すぐ左手にある2畳程度の小部屋で
 留置手続きとなった。部屋の片隅には私のバッグが置いてあり、着替え、
 洗面用具、小説などが入っていた。警察からアドバイスを受けた妻が手配
 をして、警察官が受け取っていたとのことだ。なかなか手際がよい。中で
 どういうものが必要なのか要らないものは何なのかについてきちんとアド
 バイスをしてくれたとのことで、そういうことも警察はしてくれるんだと
 感心した。

  衣類、歯ブラシ、石鹸、タオル、本など留置場に持ち込むことのできる
 物は用意されているかごに入れ、その他の物はすべて領置(警察での預かり)
 される。もし逮捕されることがあるのなら、所持品は最小限度にとどめて
 おくべきである。そのようなことを知らない私は、クレジットカードを10
 枚ほどやその他もろもろの物を持っていたため、その仕訳に時間を要した。
  仕訳が済むと、作成された目録に間違いがないかを確認し、貴重品であ
 る現金やカード類については、それを並べたうえで、私が指差ししている
 場面をポラロイドカメラで撮影。もちろん、1円玉まできっちりと並べられ
 ている。

  所持している物品の検査が終了したところで、着替えとなり、妻が入れ
 てくれたスエットに着替える。ちなみに、着替えや自分で持参した本(これ
 を私本といい、留置場に備え付けてある貸出用の本を官本という)は、廊下
 に設置してある各人のロッカーにしまい、洗面具は、廊下にある4人がいっ
 ぺんに使える大きさの洗面所の上にある戸棚にしまい、その戸棚の下にあ
 るタオル掛けに各自のタオルを掛けておくことになる。

  この後、異物隠匿検査の肛門検査や、指紋採取、写真撮影かなと思って
 いたが、肛門検査はなく指紋採取などは後日とのことであった。最後に、
 「あなたの番号は362番です。今後は番号で呼ばれます。あと、日限表(に
 ちげんひょう)を見て守るように」とだけ言われた。「日限表とは?」と問
 い返したが、聞こえなかったのか返事はなし。翌日には、一日の予定表の
 ことであると分かった。正式には「日課時限表」という。いよいよ、留置
 場入りである。用意されているスリッパを履く。

  宮崎北警察署の留置場は、女子房及び少年房を除いて、2~3人を収容す
 る部屋が11室程度ある。すべての部屋の造りは同一で、太い鉄格子が前面
 にあり、廊下側から見て左に出入り口、右には食事等々の出し入れをする
 30センチ四方程度の開閉式の小さい扉がある。この扉を廊下側に開けると
 (もちろん外からしか開かない)、その扉がそのまま物を置く台となる仕組
 みである。出入り口のところにある靴置場にスリッパを置いて中へ。内部
 は、入り口側に沿った部分が幅50センチ程度の板敷きとなっていて、さら
 に4畳半の畳敷き、その奥は半畳の板敷と半畳大のトイレとなっている。こ
 の板敷とトイレの向こう側も通路となっている。最初に入った5室の前には
 留置係官の事務室があり、事務室から見て、5室の左が6室、右は廊下であ
 る。

  中へ入ると、既に就寝時間を過ぎていたので、同房者は寝ており、彼が
 敷いておいてくれた私の寝具があった。(つづく)


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■ なっとく!法律相談 第734回
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 「委託されて撮影した画像の著作権は誰のものでしょうか?」

 □相談□

  旅行の時に、ビデオ撮影を企画実施団体に依頼されました。その団体所
 有のカメラで撮影、編集のお手伝いを無償でしました。SNSサイトに旅行の
 時の友人だけが見られるようにその時の映像を私が編集してアップしてい
 たのですが、著作権侵害だと言われました。私は著作権侵害しているので
 しょうか。また、その著作権は私には帰属しないのでしょうか?


                        (30代:男性)


 □回答□

  ビデオカメラなどで動画を撮影した場合、著作権法上では「映画の著作
 物」に分類されます(著作権法10条7号など参照)。著作権法16条では、「制
 作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成
 に創作的に寄与した者」が著作者とされます。具体的に言えば、プロデュ
 ーサーや監督、撮影監督や美術監督などです。

  映画の著作物については、完成後誰に著作権が帰属するかという部分に
 ついて注意が必要です。通常、著作権は、著作者(著作物を創作する者)に
 帰属するというのが一般的なイメージだと思います。実際、音楽や絵画、
 写真などの静止画はその解釈で正しいと言えます。
  しかし、映画の著作物については、基本的には映画製作者(映画の著作物
 の製作に発意と責任を有する者。著作権法2条10号参照)に著作権が帰属す
 ることになります(著作権法29条)。つまり、プロデューサーや映画監督(著
 作者)ではなく、映画会社やテレビ局(映画製作者)に著作権(正確には上映
 権や複製権といった著作権の財産的側面)が帰属することになるのです。
  これは、映画などの映像製作物には多額な費用が必要であり、その資金
 を提供しているのは映画製作者であることへの配慮があるためです。

  このような背景をもとに今回のケースを考えると、映画の著作物は、旅
 行中に撮影したビデオの映像となります。そして、映画の著作物の製作に
 発意と責任を有する者たる映画製作者は、旅行企画実施団体となるものと
 思われます。映画の著作者は、撮影から編集などを担っているご相談者様
 と判断されるでしょう。
  ご相談内容からは詳細はわかりかねますが、あらかじめ著作権について
 の取り決めがなされていないものと考えられますので、基本的には著作権
 は旅行企画実施団体にあると考えられます。したがって、その団体から指
 摘を受けた「著作権侵害(具体的には許諾なく上映したことによる上映権の
 侵害。著作権法22条の2参照。SNSで友人知人のみに公開したとしても、広
 く閲覧しうる状態に映画の著作物を置いたとして侵害が肯定される可能性
 があります)」というのは考えられます。

  ただ、これまで述べた条文の規定からご理解いただけると思いますが、
 映画の著作物は上映される映画作品やテレビで放送されるテレビ番組など
 を念頭においたものになっています。
  個人が制作している映像作品の場合、議論はあるものの基本的には著作
 者に著作権が帰属することになる場合もあります。旅行企画実施団体の規
 模や旅行の概要、撮影にいたる経緯などがわかりかねるため断定はしかね
 ますが「個人による映画の著作物なので、私に著作権が帰属するはずだ」
 との反論の仕方はありえます。

  しかしながら、実際にいずれに著作権が帰属するかは訴訟に発展しない
 とわからない部分が大きいです。そのため、基本的には映画製作者(旅行企
 画実施団体)に著作権があるものだという前提に立って、「SNSの限られた
 友人にしか公開していないし、実際に撮影から編集までを無償で行ってい
 るのだから、今回の利用を許してほしい」という交渉をされることが穏便
 でスムーズな解決に結びつくものと思われます。もしくはSNSから映像を削
 除してしまうというのもひとつの方法だと思われます。


  [関連情報]
  ・無断で「モノマネ」は法律違反?
   http://www.hou-nattoku.com/topic/021.php



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■ 今週の話題 ~法律はこう斬る!
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  第101回「親の監督義務をめぐり、最高裁で逆転判決。その理由は?」

  校庭から飛んできたサッカーボールを避けようとしたバイクの転倒事故
 で、サッカーボールを蹴った当時小学生の男性及び両親に損害賠償を求め
 た訴訟の最高裁判決が、2015年4月9日に出されました。今回はこの判決に
 ついて見てみたいと思います。

  事故は、2004年に起きました。オートバイに乗った80代の男性が、少年
 が蹴って、小学校から飛び出したサッカーボールを避けようとして転倒し、
 足を骨折しました。事故によって寝たきりとなった男性は、入院直後に認
 知症の症状がでて、約1年4か月後に肺炎で死亡しています。その後2007年
 に、遺族は約5,000万円の損害賠償を求めて提訴しました。

  1審では、「蹴り方次第でボールが道路に飛び出すことを予見すること
 ができた」と少年の過失を認定して、事故と死亡の因果関係についても、
 因果関係はあるとしています。その上で、少年の両親には監督責任がある
 として、1審では約1,500万円の損害賠償の支払いを命じました。
  2審でも「ボールが飛び出さないよう注意する義務があった」と同様に
 過失を認めて、因果関係も認め、両親についても「本件ゴールに向けてサ
 ッカーボールを蹴らないよう指導する監督義務がある」として監督義務を
 認め、約1,100万円の損害賠償の支払いを命じました。

  監督義務とは、民法上の不法行為を行った者に責任能力がないために不
 法行為責任を負わない場合において、その者が第三者に対して加えた損害
 を、その者を監督する義務者が賠償する責任のことを言います(民法714条
 1項)。不法行為における未成年者の責任能力については画一的な基準は存
 在しませんが、一般的に12歳位を基準に責任能力が判断されているようで
 す。未成年者の監督義務者は親権者と定められています(民法820条)。

  最高裁では、両親の監督義務について争われました。最高裁は、少年が
 本件ゴールに向けてサッカーボールを蹴ったことは、通行者に対しては危
 険を有する行為であったとした上で、

 1.少年の行為は開放された校庭の日常な使用方法として通常の行為である
  こと
 2.本件ゴールに向けてボールを蹴ったとしてもゴールの設置された場所や
  フェンス等の関係からボールが常に道路にでるという状況ではなかった
  こと
 3.事故は少年が殊更道路に向けてボールを蹴ったといった事情もない

 としています。
  その上で、責任の能力のない未成年者の親権者は、直接的な監視下にな
 い子の行動について、人に危険が及ばないように注意して行動するように
 日頃から注意監督する義務があるが、問題となったサッカーボールを蹴っ
 た行為は、上の1~3の各事情から、通常は人に危険が及ぶような行為であ
 るとは言えず、このような場合は、その行為について具体的に予見可能で
 あるなど特別な事情が認められない限りは、監督義務を尽くしていなかっ
 たとすべきではない、としています。
  本件では、特別な事情も認められず、少年の両親には監督義務違反はな
 いとしました。

  子供を持つ親御さんにとってはかなり気になっていた判決のようで、こ
 の判決に対しては反響が多く、インターネット上でもかなり話題となって
 います。そもそも、事故と死亡の間に本当に因果関係があるのかという疑
 問も多く出されているようです。
  また、今回監督義務者の責任が認められないことで、被害者側の救済に
 欠けるのではないかという意見もあります。かなり特殊な事例といえます
 ので、親の監督責任が問題となる場面で、この判決が適用されるかについ
 ては、今後の判例の積み重ねを待つしかないようです。


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■ 法律クイズ 第420回 【問題】
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 「コピー商品の「購入だけ」は違法?」

  Xさんは、ある高級ブランドの時計が欲しいものの、高額なため「見た目
 だけでも同じものを」とコピー商品を購入しました。
  あくまで自分で使うためのものですが、この行為は違法?

 1. 違法

 2. 違法ではない


 ▼ 解答は、メールマガジン下部にあります。 ▼





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■ 想うままに ー弁護士日誌から
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  第2回「刑事司法の危機」

  民事事件の和解期日などのときには、裁判官などが当事者それぞれから
 言い分を聞くので、かなりの待ち時間がある。そのため弁護士は文庫本な
 どを持ち歩いていて、待ち時間は読書時間となる。私は小型のノートを持
 ち歩き、読んでいる本の中で興味のある記述に当たると、その記述を、ノ
 ートを備忘録として書き留めておいた。今読み返してみると、刑事事件に
 関する次のような書き写しがあった。

  ハーバード大学ロースクール教授であるアラン・ダーショウィッツが
 「若き弁護士への手紙」という著書で、刑事司法ゲームにおける13の法則
 というものをあげている。

 1.ほとんどの被告人は実際に罪を犯している
 2.すべての弁護人、検察官及び裁判官は法則1を理解し正しいと信じている
 3.罪を犯した被告人を憲法を守りながら有罪にするよりも憲法を守らない
  で有罪にする方が容易だし、憲法を守りながら有罪にすることは不可能
  な場合がある
 4.罪を犯した被告人を有罪にするために自分が憲法上の権利を侵害したか
  どうかについて嘘をつく警察官は大勢いる
 5.すべての検察官、裁判官、弁護人は法則4を知っている
 6.罪を犯した被告人を有罪にするために憲法上の権利を侵害したかどうか
  について警察官が嘘をつくことを黙示的に奨励する検察官は大勢いる
 7.すべての裁判官は法則6を知っている
 8.ほとんどの原審の裁判官は警察官が嘘をついていると知っていても警察
  官の言っていることを信じるふりをする
 9.すべての控訴審の裁判官は法則8を知っているが嘘をついている警察官を
  信じているふりをする原審の裁判官を信じているふりをする
 10.ほとんどの裁判官は憲法上の権利が侵害されたかどうかについて被告人
  が真実を述べている場合でも被告人を信じない
 11.ほとんどの裁判官や検察官は起訴された罪を犯していないと知りながら
  有罪とすることはない
 12.法則11は犯罪組織の一員・麻薬の密売人・職業的犯罪者及び潜在的密告
  者には適用されない
 13.正義を欲する人間などはいない

 というものである。

  教授は刑事司法をかなり悲観的に捉えている。もちろんアメリカでのこ
 とだからそのまま日本に妥当するのかとの疑問もあろう。しかし同じよう
 な問題は日本の刑事司法の根底にもある。昔から幾度も刑事司法の危機が
 叫ばれてきた。

  簡単に私の考えを述べよう。
  第1法則と第2法則が相まって本来の「無罪推定の原則」が「有罪推定の
 原則」に変貌している。
  第3法則と第4法則及び第6法則は違法捜査の横行とこれを組織ぐるみで隠
 ぺいしようとする捜査機関の体質を言い当てている。
  第5法則、第7法則~第10法則、第13法則は罪を犯したのだから経緯はど
 うあれ有罪にすべきとの歪んだイデオロギーが法曹界を支配しているので
 はないかと思わせる。
  第10法則だけを単独で見るとそのとおりだと思うが、裁判官らに罪を犯
 していないと知らせるまでに被告人側が闘わなければならないとすれば
 「合理的な疑いを入れない程度の立証」義務が検察官にあることと、矛盾
 することになる。
  第11法則は第12法則を導き出すプロローグにすぎないのかもしれない。
  第12法則は冤罪率が最も高いのは組織的犯罪者であることを裏打ちする
 ものである。

  あまりに悲観的すぎるのは問題だが、現在の刑事司法に各法則が指摘す
 る問題点があるということは認識しておくべきであろう。


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■ 議事録から見る会社法
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 第75回「決議事項 ~利益相反取引の承認4~」

  前回まで、利益相反取引の手続や、直接取引・間接取引の類型について
 の説明をしてきました。そして、今回は、条文上は利益相反取引にあたり
 そうな場合であっても、承認を要しないとされている場合と承認を受けな
 かった場合の効力、取締役の責任について説明をしたいと思います。

 ■承認を要しない利益相反取引

  利益相反取引は、前に述べたとおり、その取引がなされることによって、
 価格を不当に高く設定する等、会社に不利益が生じる危険があることから、
 規制がなされています。つまり、会社に不利益が生じる危険が存在しない
 場合には規制をする必要がないことから、承認は不要と考えられています。
  そして、会社が取締役から無利息・無担保で貸し付けを受ける場合(最判
 昭和38年12月6日)、債務の履行、普通取引約款に基づく取引(運送契約・預
 金契約等)が承認不要な例であるとされています。
  また、利益相反取引の規制は会社、ひいては株主を保護するためである
 ことから、会社とその一人株主(その株主が取締役)との取引(最判昭和45年
 8月20日)や、取引について株主全員の同意がある場合(最判昭和49年9月26
 日)、100%子会社と親会社の取引の場合、取締役会の承認は不要であるとさ
 れています。

 ■承認を受けない取引の効力

  判例によると、利益相反取引をした場合、その取引は当事者間では無効
 となるものの、第三者に対しては、利益相反取引について第三者が悪意(知
 っていた)ということを主張・立証しない限り、無効を主張することはでき
 ないとされています(最大判昭和43年12月25日、最判昭和46年10月13日)。

 ■利益相反取引と取締役の責任

  取締役会の承認を受けたか否かに関係なく、利益相反取引が行われ、そ
 れによって、会社に損害が生じた場合、直接取引の相手方となった取締役
 等は、会社に対して損害賠償責任(会社法423条)を負うことがあります。
  さらに、利益相反取引についての承認を受けずに、会社に損害が生じて
 しまった場合には、その取引をした取締役は、任務を怠ったものと推定さ
 れます(会社法423条3項本文、1号)。したがって、承認を受けていなかった
 場合には、損害賠償責任を負う可能性が高まるといえます。
 
 
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■ 法律クイズ 第420回 【解答】
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 「コピー商品の「購入だけ」は違法?」

 □解答□
 2. 違法ではない

  ブランド品の権利関係は「商標法」において保護されています。商標登
 録されたものを許諾なしに使用する行為は罰せられます(商標法78条など参
 照)。

  では、どのような行為が罰せられる対称となるか。この点、商標法37条
 を見ると、コピー商品を「他人に販売したり、譲渡したりする前提で所持」
 していた場合に処罰されることになる旨が規定されています。そのため、
 あくまで「自分で使うため」に所持している分には罰せられることはない
 ことになります。

  ただ、あくまで自分で使うためだけの所持を認めているにすぎませんか
 ら、最終的にオークションなどで売却したりすると罰せられますのでご注
 意ください。


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