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「知らなきゃ損する!面白法律講座」第540号

                      http://www.hou-nattoku.com/
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     □□   知らなきゃ損する!面白法律講座   □□

             週1回発行(月曜日)


2010年 7月12日                        第540号
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 発行部数: 20,589部(まぐまぐ 15,090部、melma! 5,499部)
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■ 目 次
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  □ なっとく! 法律相談 第528回
    「弁護士事務所を訴えたい!」
    http://www.hou-nattoku.com/consult/941.php

  □ 法律クイズ 第214回 【問題】
    「君が代は日本の国歌?」
    http://www.hou-nattoku.com/quiz/0421.php

  □ 裁判員のための一口判例解説
    第二十八回 「幇助の因果性」

  □ 法律用語 「集中審理」

  □ 法律クイズ 第214回 【解答】



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■ なっとく!法律相談 第528回
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 「弁護士事務所を訴えたい!」

 □相談□

  某法律事務所で任意整理をお願いし、全て身内に秘密にしてもらってい
 ましたが、突然、口座振込変更の手紙がきて妻に知られてしまい、離婚騒
 ぎになりました。法律事務所に落ち度があるのではないでしょうか?

                           (30代:女性)


 □回答□

  事情によっては、法律事務所側の責任を問える可能性もあります。

  法律事務所側の落ち度が認められるかどうかは、あなたと法律事務所
 (の弁護士)との間の契約・依頼内容や、事件の経過などによるでしょう。

  任意整理を「全て身内に秘密にしてもらっていた」とのことですが、弁護
 士に対して、自宅に電話をしたり手紙を送付したりしないよう、明確に依
 頼していたでしょうか。「委任状」や「委任契約書」の内容に盛り込まれ
 たりしていれば最も分かりやすいので、確認してみましょう。
  仮に明確に依頼していなくても、依頼の内容や事案の性質などから、弁
 護士としては当然、あなたの身内に依頼内容が漏れないように細心の注意
 を払うべきということが、黙示的にでも示されていたでしょうか。
  そのような場合であったにもかかわらず、弁護士の注意義務違反により
 自宅に手紙が送付され、妻に任意整理がばれてしまったことで大喧嘩にな
 り、離婚することになってしまったようなときには、あなたは弁護士に対
 して、損害賠償を請求できます(民法415条、709条)。
  もっとも、法律事務所が手紙を送付することになった経緯などにもよる
 と考えられます。あなたの連絡先が限られていて、あなたと早急に連絡を
 取ろうとしたのにどうしても連絡が取れなかった場合など、弁護士が自宅
 に手紙を送付するのもやむを得ないと判断されることもあり得ます。

  いずれにせよ、弁護士に苦情を申し立て、自宅に手紙を送付した理由を
 きき、その理由に納得できなければ、他の弁護士に相談してみると良いで
 しょう。


  [関連情報]
  ・弁護士が何もしてくれない!
   http://www.hou-nattoku.com/consult/831.php



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■ 法律クイズ 第214回 【問題】
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 「君が代は日本の国歌?」

  「君が代」は、明治以来の伝統として、事実上日本の国歌として扱われ
 ているだけで、法律上国歌として定められているわけではない。○か×か?

 1. ○
 2. ×


 ▼ 解答は、メールマガジン下部にあります。 ▼



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■ 裁判員のための一口判例解説
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  第二十八回 「幇助の因果性」
         ~東京高裁平成2年2月21日判決~

  犯罪の実行行為をしていなくたって、その手助けをしたなら罰してもら
 いたい。
  そんな考えに対応するのが幇助犯の概念です。
  
  幇助とは、実行行為以外の行為によって、正犯(犯罪の実行行為をした
 者)の行為を助け、その実現を容易にすることをいいます(刑法62条)。
  幇助したと評価するには、幇助犯と正犯が犯した結果の間に因果関係が
 必要です。
  
  そこで今回の事案では、被告人Xの行為と正犯Yの強盗殺人行為に因果関
 係があるか、Xは幇助犯となるのかが問題となりました。
  
  主犯である共同被告人Yは、宝石商のAに対して宝石等を多量に購入する
 などと働きかけ、Aから数回にわたって宝石類や毛皮などを預かり保管して
 いましたが、これ以上宝石類を持ってこさせるのは難しいと考え、Aを殺し
 て宝石類の返還を免れようと企てました。
  
  そこで当初、殺害場所にしようと予定したのが、自分の経営する会社事
 務所ビルの地下室です。
  本件被告人Xは、拳銃音が外部に漏れないよう、地下室入口戸の周囲の隙
 間等をガムテープで目張りし、換気口を毛布で塞ぐなどの処置を施しまし
 た(行為1)。
  
  しかし、計画は変更され、Yは、仲間の運転する自動車で高速道路を走行
 中、車内でAを射殺します。同時に、Aが所持していた現金40万円も抜き
 取ったため、強盗殺人の罪を犯しました。
  この際、Xは、Yから暗に求められて同行し、Yを精神的に力づけました。
 そして、強盗殺人の実行を助けることになると認識しつつも、Yの自動車に
 同乗して追従し、殺害現場に至ったのです(行為2)。
   
  第1審は、行為1が、Yの一連の計画によるAの生命等の侵害を実現化する
 危険性を高めたと評価し、これによって必要な因果関係の存在を肯定しま
 した。
  また、行為2も、Yの強盗殺人の意図を強化したと評価しました。
  行為1・2の両方とも幇助行為と認定したわけです。
  これに対し、X側は、事実誤認・法令適用の誤りを理由に控訴しました。
  
  本判決は、行為1について原判決を破棄し、行為2についてのみ幇助行為
 を認めました。
  高裁は、行為1がYの現実の強盗殺人の実行行為を幇助したというには、
 行為1が、それ自体、Yを精神的に力づけ、その強盗殺人の意図を維持ない
 し強化することに役立ったという状況が必要だと示しました。
  しかし、YがXに行為1を指示し、Xがこれを承諾したなど、Xの協力ぶりが
 Yの意を強化したといえるような証拠は特にありません。
  また、そもそも行為1をYが認識した証拠すらなく、精神的な助力・強化
 は望めないため、行為1がYの実行行為を幇助したといえる関係にはないと
 判断しました。
  
  しかし一方で、Yは行為2を心強く感じており、X自身も、Yらの車に追従
 することがYの強盗殺人を幇助することになるという故意のもとに行為2を
 行っています。
  この事実から、Xは故意を持って正犯Yの強盗殺人行為を強化し、幇助し
 たといえるとして因果関係を認め、Xに強盗殺人幇助罪を成立させました。



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■ 法律用語
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 法律用語 「集中審理」

  光市母子殺害事件など、話題の事件が集中審理によって処理されること
 も多くなってきました。
  審理といえば、取調べて事実関係を明らかにし、事件を解決していく裁
 判の手続。
  それが集中しているとは…一体どのような制度なのでしょうか。
  
  以前は、ひとりの裁判官が複数の事件を抱え、間隔を空けて比較的短時
 間の期日(訴訟日)を何度も開くことで、長期間にわたり審理を同時併行
 させる「併行審理」が主流でした。
  
  しかし、こうした訴訟運営が期日の実益や緊張感を損ない、15年以上も
 審理が中断される事件が発生するなど、迅速な裁判を受ける権利(憲法37条
 1項)を再認識すべき状態に陥ります。
  
  そこで、平成15年公布の「裁判の迅速化に関する法律」は、第1審の訴訟
 手続を、2年以内のできるだけ短い期間内に終結させるよう目標設定しまし
 た(2条)。
  この要請に応えるため、審理の期日(民事訴訟では口頭弁論、刑事訴訟
 では公判)が数日にわたる裁判では、各期日の間隔を省き、審理期間を短
 縮する制度が推進されることになりました。これが集中審理です。
  
  当事者が口頭で直接陳述するという審理の性質を考えれば、鮮明な記憶
 を基にする方が確実ですし、前回の審理内容を再確認しなくてよい分、裁
 判に関わる人々の負担も軽減します。
  刑事事件においては、犯罪の鎮圧・予防、証拠による真実発見などの面
 でも有益といえます。
  
  ただ、集中審理はいったん始まれば最後まで一気に進めるので、当事者
 や裁判所はあらかじめ審理での攻撃防御内容を把握する必要があり、事前
 準備が求められます。
  その際、手続に関する争点の明確化、事件内容の確認、その立証に使う
 文書・申請する証人といった証拠方法の確認も行います。
  
  こうした流れをうけて、民事訴訟法も改正されました。
  訴訟手続の計画的な進行を図ることが、当事者や裁判所の義務とされ
 (147条の2)、争点・証拠の整理から判決の言渡しまで、訴訟に関係する
 事項の期間につき審理計画を立てることとなったのです(147条の3)。
  
  刑事訴訟法においても、平成16年改正で、第1回公判期日前に争点及び
 証拠の整理を行う新たな準備手続として、「公判前整理手続」が新設され
 ました(316条の2~27)。
  検察官に対して、証明しようと予定している事実を明らかにし、証拠等
 の開示を求めることで、被告人の十分な防御準備を可能にしています。
  同時に、あらかじめ被告人側にも主張の明示や証拠調べ請求などを求め
 ておくことで、手続き終了後に新たな証拠調べ請求をしないよう制限する
 ものです。
  
  以上のように、準備が沢山あって面倒そうですが、その分メリットも大
 きい集中審理。
  裁判員裁判などはこの方式で進められているので、ひょっとしたら皆さ
 んも触れる機会があるかもしれません。



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■ 法律クイズ 第214回 【解答】
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 「君が代は日本の国歌?」

 □解答□

 2. ×

  君が代は、以前は事実上日本の国歌として扱われているだけでしたが、
 平成11年8月13日施行の「国旗及び国歌に関する法律」で、正式に日本の国
 歌として定められました(2条1項)。
  同法は、「国旗は、日章旗とする。」とも定めており(1条1項)、日本
 の国旗が日章旗、つまり日の丸であることも定めています。



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