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「知らなきゃ損する!面白法律講座」第545号

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     □□   知らなきゃ損する!面白法律講座   □□

             週1回発行(月曜日)


2010年 8月30日                        第545号
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 発行部数: 20,647部(まぐまぐ 15,156部、melma! 5,491部)
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■ 目 次
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  □ なっとく! 法律相談 第533回
    「購入した土地にガラスや釘が混入していた!」
    http://www.hou-nattoku.com/consult/953.php

  □ 法律クイズ 第219回 【問題】
    「六法って何?」
    http://www.hou-nattoku.com/quiz/0437.php

  □ 裁判員のための一口判例解説
    第三十三回 「侵害の急迫性」

  □ 法律用語 「自救行為」

  □ 法律クイズ 第219回 【解答】



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■ なっとく!法律相談 第533回
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 「購入した土地にガラスや釘が混入していた!」

 □相談□

  家を建てるために土地を購入しましたが、住み始めてから土地に問題が
 発覚。土にガラスや、釘、鉄の破片などが多く混入していました。土地が
 売られているときは草が生えていたため気づきませんでしたが、家を建て
 て住み始めてわかりました。近所の人に聞くと、以前の地主が高く売れる
 粘土質の土だったため、土を売り、代わりにガラスや、釘、鉄の破片など
 が多く混入したきたない砂を入れたことを知りました。購入するときは不
 動産屋からは何も聞かされていませんし、近所で売られている土地よりも
 高く購入しています。知っていたら購入しなかったですし、買ったとして
 ももっと安く値切っていたと思います。子供も小さいため危なく、本当に
 悔しい思いをしています。前の地主又は不動産屋にきれいな土に入れ替え
 ていただくか、それ相当のお金で返していただきたいのですが可能でしょ
 うか? 

                           (20代:女性)


 □回答□

  土の状態にもよりますが、売主や不動産屋に対して損害賠償を請求でき
 るでしょう。不動産屋に対しては、宅建業法違反の責任を問うこともでき
 ます。

  売買の目的物に隠れた欠陥があった場合、買主は、売主に対して、契約
 の解除や損害賠償を請求できます(瑕疵担保責任、民法570条、566条1項)。
  この請求は、売買の目的物に「隠れたる」「瑕疵(欠陥のこと)」があ
 る場合に認められます。「隠れたる」とは取引上要求される一般的な注意
 義務では発見できないことをいい、「瑕疵」とは目的物が通常有する性質
 や性能を有していないことをいいます。
  ご相談の場合、土地を買ったときは草が生えており、土にガラスなどが
 混入していたことが分からなかったとのことです。このような場合は、取
 引上要求される一般的な注意を払っても発見できなかったといえるので、
 「隠れたる」といえるでしょう。
  また、土にガラス片などが混入している程度にもよりますが、おそらく
 土地が通常有する性質・性能を欠くといえ、「瑕疵」といえるでしょう。
  そのため、あなたは、土からガラス片などを取り除くために要した費用
 などを、買主に対して損害賠償として請求できます。この請求は、買主で
 あるあなたが、その瑕疵を知ってから1年以内に請求しなければなりません
 ので、注意してください。

  なお、売主がどこから砂を持ち込んだかにもよりますが、売主や、土地
 に砂を入れた業者に対して、廃棄物処理法違反の刑事責任を問うことも可
 能でしょう。
  ガラス片や釘、鉄などが混入した土は「産業廃棄物」にあたるので(廃
 棄物処理法2条4項1号、政令2条)、法律に基づいた適正な処理がなされな
 ければならないと定められており、それらを不法投棄することなどは禁止
 されているからです(16条)。

  不動産屋に対しても、不動産屋が、土にガラス片などが混入しているこ
 とを知りながらあえて買主であるあなたにこれを告げなかったり、不動産
 屋の過失により知らなかったような場合であれば、損害賠償を請求するこ
 とができます(民法709条)。

  また、不動産屋が、土にガラス片などが混入していることを知りながら
 あえて買主であるあなたにこれを告げなかったり、不実の事項を告げたり
 した場合は、宅建業法違反(47条1号)として、2年以下の懲役若しくは300万
 円以下の罰金に処されることがあります(79条の2)。そのため、あなたは
 警察や検察に対して不動産屋を刑事告訴することもできます。


  [関連情報]
  ・購入した中古住宅からシロアリ!
   http://www.hou-nattoku.com/consult/67.php



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■ 法律クイズ 第219回 【問題】
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 「六法って何?」

  日本における主要な6つの法律のことを「六法」といいます。それでは、
 この「六法」とは、憲法、民法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法とあと何
 法でしょうか?

 1. 行政法
 2. 商法
 3. 労働法


 ▼ 解答は、メールマガジン下部にあります。 ▼



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■ 裁判員のための一口判例解説
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  第三十三回 「侵害の急迫性」
        ~最高裁昭和52年7月21日第一小法廷決定~

  殴られそうになったので咄嗟に相手方を蹴って逃れた、という場合、こ
 れを犯罪だ!傷害罪だ!というのは少々気の毒ですよね。
  
  刑法上、急迫不正の侵害(現在差し迫った、人権に対する不正な危険)
 から自分や他人の権利を守るため、やむを得ずにする行為は、適法な正当
 防衛として、犯罪にならないとされています(36条)。
  
  ここで今回問題となるのが、「急迫」という部分。
  急迫性が認められるには、

  (1)過去でも将来でもなく、「現在」の侵害が存在する
  (2)防衛の機会を利用して、積極的に相手方に加害するような「積極的
     加害意思」に基づいていない

  という2つの条件を満たしていなければいけません。
  
  今から紹介する事案では、防衛行為をする者が、侵害行為を予期して防
 衛の準備をしていました。
  この場合、上記(1)(2)の点はどう評価され、急迫性判断にどう影響
 するのでしょうか。
  
  新左翼党派である中核派と革マル派は、対立関係にあり、激しい党派闘
 争を繰り広げていました。
  被告人Xらは中核派の学生で、集会の際、革マル派の学生らからの攻撃を
 予期して鉄パイプなどの凶器を準備し集合していました。
  そこへ攻撃してきた革マル派のうち、Aの頭部等を鉄パイプ等で乱打する
 などの暴行を加えるなどして、いったんは同派学生らを撃退します。
  そのうち再度攻撃を仕掛けてくるだろうと予期してさらにバリケードを
 築いていると、予想通り革マル派学生らの攻撃が始まりました。
  これに対して、Xらは、鉄パイプで突くなど共同で暴行を加えたとして起
 訴されました。
  
  1審判決は、Xらは革マル派の者らの襲撃を漠然と知っていたというだけ
 なので、現在の侵害がないとはいえないため、革マル派による侵害行為に
 は(1)の現在性があり、急迫性ありとしました。また、対抗準備を整えて
 いたことも急迫性を失わせるものではなく、(2)も満たしているとしまし
 た。
  
  これに対し原判決は、革マル派の第2の攻撃はXらが当然に予想していた
 もので、現在の侵害が存在するとはいえないため、(1)を満たさず、不正
 の侵害があっても急迫性はないと判示。
  この判決の中で、Xらは、相手の攻撃を当然に予想しながら、単なる防衛
 の意図ではなく、積極的攻撃、逃走、加害の意図をもって暴行に臨んだこ
 とも明らかになりました。
  
  弁護人は、不正の侵害が予期できたかは(1)に関係がなく、急迫性判断
 とつながらないとし、革マル派のXらに対する攻撃は、やはり急迫不正の侵
 害であるとして上告しました。
  
  最高裁は上告を棄却しました。
  
  正当防衛に「急迫性」が必要とされているのは、「予期できる侵害なら
 避けよ」と義務付ける趣旨ではないため、当然又はほとんど確実に侵害が
 予期できたとしても、それが直接の理由となって急迫性がなくなるわけで
 はないとしました。
  したがって、(1)で「将来の侵害の察知=現在の侵害なし」とした原判
 断は、その限度においては違法だと判断しました。
  
  しかし、予期された侵害を避けなかっただけでなく、(2)にいうような
 積極的加害意思をもって侵害に臨んだときは、急迫性はないと基準を示し
 ました。
  この点、原判決を見ると、Xらは、積極的加害意思をもって行為に及んだ
 ということなので、(2)を満たさず、急迫性なしとした原判断の結論自体
 は正当であるとしました。
  
  急迫性を認めず、正当防衛でないとした結論は原判決と同じですが、そ
 の根拠を条件(2)の不足に求めたというわけです。



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■ 法律用語
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 法律用語 「自救行為」


  いきなりですが、以前からあなたの敷地内に隣家の軒先が突き出た状態
 を想像してください。
  この軒先は建築許可も下りていない不法なものである上に、あなたはそ
 の敷地内にある自己所有店舗の増築を考えています。増築は生活のために
 必須であって、自分の敷地内のことだから構わないと判断し、あなたはこ
 の軒先を勝手に切ってしまいました。
  さて、このような対応は法律上どう評価されるのでしょうか?
  
  相手は悪いことをしているんだから、それを排除する行為は「正当防衛」
 じゃないのか?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、正当防衛
 とは、現存する、またはさし迫っている侵害に対して行うものです。
  
  今回は、過去に侵害を受けた状態が残存しているものなので、少し事情
 が異なって、「自救行為」にあたります。
  自救行為というのは、法律上保護に値する利益を犯された者が、法律上
 の適式な手続を踏んで、国家機関の救助を待っていては、回復が不可能ま
 たは著しく困難となる場合に、自力でその回復を図ることをいいます。
  
  自救行為は、刑法上、基本的に許されません。
  個々の国民が自分勝手に権利の回復を図ってしまうと、結局は力の強い
 者の天下となってしまい、国の秩序が乱れてしまうからです。
  
  それでも、例外的に、ある一定の条件を満たした自救行為は違法でなく
 なり、犯罪にならないと解するのが一般的です。

  その条件とは、
  (1)侵害の直後もしくは一定の時間内であって、正規の救済手段では被
     害の回復が著しく困難である(緊急性)
  (2)自らの法益を保全・確保する目的である(自救の意思)、
  (3)その方法と程度が、社会生活上相当かつ必要な範囲である(必要性・
     相当性)、
  の3点です。

  特に、(3)の判断にあたっては、その手段をとることが必要不可欠であっ
 たかを中心に据えてみることになります。
  
  判例もこうした一定条件下での自救行為を違法性なしと考えています。
  しかし、実は、実際に自救行為を認め無罪とした最高裁判例はないので
 す。
  冒頭で紹介した例も、最高裁は、理論上は肯定する余地を認めたものの、
 事案としての判断は、許されうる自救行為ではないとして、勝手に軒先を
 切った行為に対し、建造物損壊罪を成立させました(最高裁昭和30年11月
 11日判決)。
  
  国の秩序との兼ね合いもありますし、理論と実際の運用が一致する日は
 まだ遠いのかもしれません。



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■ 法律クイズ 第219回 【解答】
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 「六法って何?」

 □解答□

 2. 商法

  六法とは、憲法、民法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法のほかに、商法
 のことを指します。これらの6つの法典を中心に、主要な法令を収録した書
 籍を「六法全書」又は「六法」と呼びます。
  なお、「社会福祉六法」などのように、その分野に該当する法律を数え
 上げて「六法」と呼んでいる場合もあります。社会福祉六法とは、生活保
 護法、児童福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、老人福祉法、
 母子及び寡婦福祉法を指します。



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